INSTITUTE
FOR HYDROGRAPHIC STUDIES, HYDRAULICS LAB
/ MADRID
@ madrid / miguel fisac
architect: miguel fisac
location: virgen del puerto [metro puerta del Angel_L6] madrid
construction: 1959-1960
date: 21/06/2002-15/07/2004
マドリッドの中ではこの建築が一番好きだ。
エンジニアに近い側面を持つミゲル・フィサックの名を大いに知らしめ、非常に実験的な建築だったことで知られる水道局である。
セゴビア橋と呼ばれるローマ時代の遺構(現在でも道路として使用されている)の近くに、ひっそりと佇む。
ACEBO & ALONSOのスタジオに勤める4人と待ち合わせ。
彼らが上司に頼みこんで見学許可を取ってもらったとかで、ありがたい話だ。
三年間、近くに来るたびに中の様子をじっと眺めていた僕にとって、千載一遇のチャンス。
逃すわけはあるまい。
門扉手前の道路。この右手にマドリッドを斜めに突き抜けるマンサナレス川があり、巨大で頑強なセゴビア橋が架かる。
この道を何度通り過ぎたことか、門扉の間から何度覗いたことか。色んな記憶を辿る。
おかしいなあ、待ち合わせ時間なのにまだ誰も来ないなあと、時計を見やりながらはやる気を紛らせる。
ようやく4人が到着したと思ったら「さあさあ何してんの、中に入ろうよ」だって。
約束の時間に来て俺は待ってたんだっつーの(怒)。...とはいうものの、難なく開門されれば気持が高ぶる。
前庭でしばらく待たされた。どうやら館長が直々に案内してくれるらしい。
デザインの集中した部材と、デザインを放棄したかのような素っ気無いコンクリートの壁。
敷地は交通量の多い車道に面しているので、遮音の意味もあったかも。きれいに打設されている
ダブルのスーツを決め込んだ恰幅のよい老人がタバコを燻らしながら現れて、それじゃ行ってみましょうと言った。
あなたが館長ですか。
フィサックの人柄、この建物の設計の経緯など、当時の思い出を懐かしむように、館長はゆっくり語り始めた。
60年代にできた建築だけあって、目に付くどの部分をとっても寸法が小さい。つまりこれが60年代のスペインで見えていた
室内風景なわけだ(わけか?)。開口部や建具、家具とあらゆるスケールが小さく狭く、低い。
写真は現在未使用のスペース。ふとこの先も使用されることがなさそうな気がしてしまう。
小ホール。座席も随分狭いのだが、座り心地は非常によく、館長に質問したところ、この建築内の全ての調度品は
フィサックによりデザインされているのだとか。こんなクライアント、一生のうち一度で良いから出会ってみたいものだ。
片持ちの階段はやっぱり揺れる。
先を急ぐ館長のあとを追って、階段を上る。
ガラス越しに見えてきた何やら見覚えのあるシーン。おっとー!
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